
2003年6月3日
ここのオフィスで働き始めて、早いものでもうすぐ4年。私の仕事は、教会の礼拝プログラムやチラシなどを作る仕事。「たったそれだけ?」と思われるかもしれないが、うちの教会のように、大きな教会になると、これが結構大変な作業である。月曜から金曜まで、1日6時間労働で、クリスマスやイースター前、その他の行事が入ると残業も増える。
4年前、この町に引っ越してきて仕事を探しながら、自分の行く教会のオフィスでボランティアを始めることにした。しばらく経って、オフィスのポジションに空きが生じたため、牧師から「面接してみないか?」と言われた。ちょうど、以前ワシントンDCで働いていた時の仕事内容と同じだったので、経験重視のアメリカですんなり採用してもらうことが出来た。これはきっと、神様が下さった仕事に違いない。首にならずにここまで来たのが、何よりの証拠!?
この教会は、プロテスタントのUnited Methodist Churchと言う、アメリカではかなり大きな教団に属している。教会員数は1600、日曜日の平均的出席人数は900という、中の上くらいのサイズの教会である。一応、Large size churchに属するらしい。牧師が1人に副牧師が2人、その他、音楽のディレクター、子供のディレクター、中高生ディレクター、オフィス・スタッフなどなど、お給料をもらうスタッフは30人以上(ほとんどがパートタイム)。礼拝数は、日曜日の朝に3回、夕方に1回、火曜日の夕方に1回の、計5回。その他、子供、中高生、成人の日曜学校、平日も毎日のように聖書研究やボランティア・ミーティング、聖歌隊リハーサルボーイ・ガールスカウトなどなど、教会は休む暇がない。聖歌隊だけでも、成人2グループ、子供2グループ、中高生1グループ、ハンドベル4グループがあり、さらにバンドが3グループ。そんな忙しい教会で、日本人スタッフが目にした面白い出来事や変わった出来事などをエッセイにしていきたいと思います。

2003年6月4日
さっそく、今日オフィスで起こった出来事。今年の夏に、ここから車で40分くらいの所になる教団のキャンプ場で、週末キャンプをすることになった。だけど、料金が2泊3日で119ドル(約11,900円)とは結構高いと言う文句が出ていた。確かに、私も3年ほど前にWomen's Retreat(女性の修養会)でここのキャンプ場に泊まったけれど、あまり上等とはいえない設備なので私なら、119ドルも出しては泊まらない。
今日は、副牧師とスタッフ1名がこのキャンプ場に下見に言って来た。ニコニコしながら戻ってきた副牧師。「費用を一人90ドルまで負けてもらいました」と報告。「えらい、えらい!よくやった!」とみんなで感心していたら、「いえね。実はキャンプ場の方はうちの教会の名前がSt.○○だから、カトリックだと思っていたらしくて、高い値段を吹っかけられちゃってたんですよー、あはは」確かに、うちの教会はプロテスタントのくせにSt.で始まる聖人の名前がつけられている。以前、カトリックの友人にも「あなたの教会はカトリックじゃないのにどうして聖人の名前がついているの?」と聞かれた事がある。なぜかは、私もわからないのだが、とにかく教団所有のキャンプ場なのに外部の団体に貸し出す値段をつけられてしまっていたのだった。副牧師は、「負けてもらった理由はそれだけではありませんよ」と言うので、きっと彼の人徳も功を奏したのだろうか?

2003年6月20日
アメリカの教会には、日本の教会で私が経験したことのない色々な礼拝がある。例えば、イースター前の準備として、私が日本で知っていたのは「Good Friday」とレント(イースター前の40日間)くらいのもの。レントも、あまり気にしたことはなかった。けれど、こちらではレントの期間中、自分の一番好きなもの(甘いものとか、コーヒーとかの嗜好品)を一切食べないとか、毎週金曜日に断食すると言った習慣もある。さらに、これに加えてPalm Sunday、Shrove Tuesday(またの名をFat Tuesday)、Ash Wednesday、Maundy Thursdayなどなど。聞いたこともない儀式が目白押しである。
ご存知のクリスチャンも多いと思うけど、私が知らなかったので、ここで少しだけ説明を加えると、Shrove Tuesdayは、レントが始まる前日。またの名をFat Tuesdayと呼ばれるが、これはレントが始まる前に好きなものを腹いっぱい食べておこうと言う意味が込められている。Ash Wednesdayは、レント第一日目。カトリック教会などでは、この日に礼拝を持ち、参列者の額に灰を塗る(実際に参列したことがないので、どういう礼拝なのか分からない)。Palm(しゅろの葉) Sundayは、イエス様のエルサレム凱旋を記念する日で、イースターの一週間前の日曜日のこと。実際にしゅろの葉を礼拝に取り入れる。この日を境に、イースターの前日の土曜日までの1週間を、Passion Weekと呼ぶ。その週の木曜日はMaundy Thursday、最後の晩餐の日である。この日、教会によっては洗足式(Foot Washing Service)を行う。最後の晩餐の席で、イエス様が弟子の足を洗ったことを覚えて、参列者がお互いの足を洗う。翌日は、Good Friday、十字架の日である。そして、イースター。
イースター以外にも、びっくりするような礼拝がたくさんある。中でもユニークだと思ったのが、Blessing of the bikesと、Blessing of animals。前者の方は、うちの教会ではなくて近所のアッセンブリー・オブ・ゴッド教会でこの春に行われたもので、看板を出していたので気になった。同僚に聞いてみたら、その名の通り、「バイク祝福礼拝」、つまりバイクを祝福するんである。バイクとは、もちろんエンジンでバーッと走るやつである。アメリカには、バイク伝道なるものもある。同僚のお父さんが、このバイク伝道に参加していて、60歳を過ぎて革ジャンを着てハーレーをぶっ飛ばし、伝道をして回っているらしい。
次が、Blessing of animals。これも、その名の通り動物を祝福する礼拝。今年の夏に、うちの教会でも始めてやることになった。家で飼っているペットを連れてきて、牧師先生に祝福してもらう。抱き上げただけで断末魔のような叫び声を上げるうちの猫は、とてもじゃないがこの礼拝に参加して祝福に預かることなど無理であろう。ペットなら、へびやトカゲでもいいらしい。

2003年11月20日
礼拝プログラムを作ると、色々タイプミスが起こる。スタッフ・ミーティングでみんなで読み合わせ、さらにボランティアの人に毎週来てもらって校正をしてもらうんだけど、それでも間違いが見落とされてしまうことが多い。単純なミスならいいけど、行事の日にちを間違えたり、連絡先の電話番号を間違えたりすると大変なので、そういった数字にはかなりピリピリ神経を使う。特に怖いのが、礼拝プログラムの中の間違い。900人前後の人が見るわけだから、間違えると大恥もんである。一度、賛美歌のページ数を間違えて、音楽が鳴り始めてから皆必死にページをめくって賛美歌を探していたときには、さすがに冷や汗タラタラであった。それ以来、賛美歌のページ数には細心の注意を払い、何度も見直すようにしている。そんなわけで、スタッフは強制ではないにしろ日曜日の朝、名札を胸につけることにしているが、私は自ら「間違えたのは私です」と宣伝してまわるのを恐れて、名札をつけないことにしている。
先日の間違いは、幸いスタッフ・ミーティングで見つかったので大恥をかかずに済んだが、もしこれが見落とされてそのまま印刷されていたら、更なる恥の上塗りをする羽目になるところだった。その間違いとは、英語のスペルミス。詩篇の聖句を賛美歌にした歌詞の中で、「灯火」の意味である「Lamp」を、間違えて「Lump」とタイプしてしまった。Lumpとは、「腫瘍」と言う意味。すんでのところで、この歌詞は「あなたのみ言葉は、私の足の灯火です」となるべきところを「あなたのみ言葉は、私の足にできた腫瘍です」となってしまうところだった。事前に見つかったおかげで、牧師に爆笑されただけですんだ。ちなみに、英文では「Thy word is a lamp unto my feet」有名な賛美歌である。

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